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小田原在住の幼なじみ3人組の、インディーズ時代の1stアルバム。この後、生きることの憂鬱や逡巡や屈託をいや増して、歌詞にも文学性や情景描写も生まれていったが、2003年3月発売の本作では、いまだ「辛い思いをした分優しくなれる」「死ぬまでに自分はどれだけの出会いと別れを体験するのか」といった、心底青い、青春ド真ん中の「状態」をみてとれる。
だが、青春パンクが淘汰されつつあったこの時期に、彼らはその素直すぎる気持ちを、半端に濁ったサウンドや闇雲にファストなビートで撒き散らすのでなく、きれいなプロダクトとメロディで描いた。悩ましいけれど、命があることに感謝したい――それが何より伝わるし、そこが刺さる作品でもある。(石角友香)