なぜウソをついちゃいけないの?-ゴットフリートおじさんの倫理教室 を通販で購入する(通信販売で予約する)

高校生のピアは、夏休みに友だちのアンネと２週間のフランス旅行を計画します。出発の３週間前になって、ピアの恋人マルクが交換留学生としてアメリカに行くことが決まりました。残り少ない時間をマルクとどうしてもいっしょに過ごしたいピアは、アンネに「お金が足りなくなったから」とウソを言って、旅行をキャンセルしようとします。「ウソをついちゃいけないわ」と怒る母親の説明に、ピアも、弟のフェルディナントも納得できません。フェルディナントは、近くに住むゴットフリートおじさんの家に向かいます。どう考えればいいかわからなかったので、おじさんに聞いてみようと思ったのです。

そう、どう考えたらよいのかわからないことって確かにあります。そんなとき、「ともかく、そうするものなの！」とか、「あたりまえでしょ！」なんて、頭ごなしに言っても、子どもたちは納得しないものです。どうするのが正しいことなのか？　この本は、そんな疑問を親子で考えるための本です。

取り上げられる話題には、

〇仲間はずれにさせるのが怖くて、万引きに加わるのは悪いことか？
〇多くもらったおつりは返さないといけないか？
〇プレゼントが気に入らなくても「気に入った」といわなきゃいけないか？
〇人通りがまったくない夜間の道路でも、制限速度をまもらなきゃいけないか？
〇自分が悪いことをしていなくても「連帯責任」を負わなきゃいけないか？
〇浮気を反省したら、パートナー（恋人）に告白しないといけないか？
〇環境にやさしい人になろうと思ったら、無農薬野菜しか食べられないか？

などなど、思春期に入りかけの子どもたちが悩み始める日常の疑問が多数取り上げられています。「良心」と「自分がやりたいこと」の板ばさみになるとき、人はどう振る舞えばよいのかという、身近な倫理的疑問の数々に、物語の主人公フェルディナントとピアが、両親やゴットフリートおじさんとともに答えを探します。

著者は、ドイツのマスコミ界で「倫理学博士」の異名をとり、人生相談のカリスマと呼ばれる人気ドクターです。

本書が英語圏の類書と大きく異なるのは、ルールを押しつけるのではなく、読者に自分の頭で考えさせようとしていることです。冒頭の例でも、嘘をつくことに関し、「友達の気持ちを傷つけないようにと嘘をつくのは悪いことか」といった問いかけをしています。それに対して、古今の哲学者や教訓譚がどう考えてきたか、欄外にコラム記事で紹介しながら、物語自体は、流れるように進みます。

答えは押し付けられるものではありません。自分の頭で考えること